スマホに満足してますか?~ユーザインタフェースの心理学~ (光文社新書)
スマホに満足してますか?~ユーザインタフェースの心理学~ (光文社新書) 
増井 俊之
光文社
2015-02-20


著者の増井俊之さんはユーザーインタフェースの第一人者だ。タイトルの「スマホに満足してますか?」とはどういう意味だろうか?本の帯には「みんなジョブズにダマされている!?」との挑発的なキャッチコピー。伝説のジョブズに、天下のアップルに、我々iPhoneユーザーはダマされているのか?

みんなスマホが大好きだ。スマホが無ければ生きていけない。スマホが人生を変えてくれた。そう感じている人達は世界中に多くいるはずだ。しかし増井さんは「現在のスマホは本当に誰にとっても便利なものでしょうか。皆が使っているし、いろんなことができるから、なんとなく便利なものだと思い込まされているだけなのではありませんか。スマホが格好よくて便利だと思っている人は、アップルやグーグルに騙されているだけなのかもしれません」とスマホ大好き人間たちに警鐘を鳴らす。

スマホは不便だと思いながら使っているユーザーがいるだろうか。しかし「あなたにとってスマホはどこがどのように便利なのですか?」と問われたならば即答できないかもしれない。もしかして実は我々はアップルやグーグルに騙されて、彼らの戦略によりスマホに憧れて、スマホに夢を見ているに過ぎないのか。本当はそれほど便利でもないのに、次々と新しい使いこなせない高機能が増えるスマホを買わされているだけなのだろうか。

増井さんは「スマホが人間生活の向上に役立っているかどうかはかなり怪しい」と考えている。スマホは絵を描いたりテキストを書いたりといった「知的生産活動に活用することは困難」だし、音楽や動画を楽しめるが、それは「単なる時間潰しという性格が強い」と厳しい指摘をする。痛いところを突かれた。確かに知的生産活動はあんまりしていないし、時間潰しに使っている時間は長い。人間生活の向上なんて考えたこともなかった。

もし増井さんの指摘が正しいとして、それではどうすればスマホは本当に便利で役に立つものになるのだろうか?増井さんはユーザーインタフェース(UI)の観点から分析している。UIとは「コンピュータのような機械を人間が使えるようにする仕組み」のことだ。長年にわたって増井さんはUIの開発をしてきたが、現在のUIは「まだまだ理想には遠い」と感じている。

キーボードでコンピュータを操作できるようになったり、マウスを使うGUIを使えるようになったときには増井さんも感動したそうだが、残念ながら「最近のコンピュータの使い勝手がこれに匹敵するほど進化した」のを見たことはないと言う。なぜキーボードとマウスを超えるUIが登場しないのか?

コンピュータの使いやすさを進化させるため、増井さんは次の6点を重視せよと主張している。
①人間の心理や特性と理解し
②新しい発想を育て
③ウェブのトレンドを理解し
④ユビキタスコンピューティング技術を理解し
⑤頭を整理することができるような
⑥信頼できる安全なシステムを開発していく

本書では以上のトピックについて各章で様々な考察をしている。つまりiPhoneユーザーがジョブズに騙されてiPhoneを買わされている理由を、マーケティングの観点から説明している訳ではない。UIに関する様々な研究を整理・分析し、新しいUIを提唱しているのが本書だと言える。上記の6点に興味がある方にとっては非常に面白く役立つ内容になっているのではないだろうか。