パーソナルデータの衝撃――一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった
パーソナルデータの衝撃――一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった [単行本(ソフトカバー)]
城田 真琴
ダイヤモンド社
2015-02-20


いろいろなお店で買い物をすると「ポイントカードはお持ちですか?」と頻繁に訊かれる。最初は「いえ持ってません」と言うのだが、それが何回も繰り返されると、「もしかして毎回のポイントも貯めれば結構得するのか?」「ポイントカードを出さないことは損していることなのか?」とだんだん心配になり、カードを作って買い物のたびに出すようになる。

しかし、確かにカードを出すだけでポイントを貰えるが、そこには落とし穴がある。「タダより高いものはない」のである。こちらはポイント以上のものを奪われていることを自覚すべきだ。お店はあなたの購買履歴情報をポイントカード運営企業へ流す。運営企業は個人情報と購買履歴を最大限活用しようとする。

インターネットで買い物をしたら、さらにOSやブラウザを知られるだけでなく、閲覧したウェブページの履歴まで知られてしまう。そのことにより更に企業のサービスが向上すればいいじゃないかという意見もあるが、本当のところはどうなのか?我々にとって歓迎すべき事態なのか?

城田さんによると、欧米では「パーソナルデータは新しい石油である。21世紀の価値ある資源であり、新たな資産である」という考え方が今や共通認識になりつつあるそうだ。価値ある資源というのは、企業活動や経済を加速させるエネルギーになるという意味だろうか?

日本でも「ビッグデータ」という言葉が溢れていて、各企業がこぞってパーソナルデータの蓄積を急いでいる。そのような事実は知っていても、いざ自分のこととなると、まさか自分にとって不利益なことになると想像する人は少ないのではないか?事の重大性に気づいている人がどれくらいいるだろうか?

残念ながらポイントカードに申し込みをしたならば、もはやパーソナルデータの提供を拒否することは出来ない。何故ならば「申し込み時に渡されたであろう小さな文字で書かれた会員規約には、個人情報がポイントプログラム参加企業に提供されると書いてあり、それに同意したことになっている」からだ。一体どれだけの人が会員規約をそこまで読み込んでいるだろうか。これだけで何か薄ら寒いものを感じてしまう。

ところが欧米では「パーソナルデータを巡り、消費者ー企業間のパワーバランスの不均衡を是正しようとする動きがすでに始まっている」という。それは「企業に収集されてきたパーソナルデータを再び個人の手に取り戻そうとする新たなムーブメント」だという。「個人の手に取り戻す」とはどういう意味だろうか?

それは消費者がパーソナルデータをコントロールすること。つまり「パーソナルデータを収集している企業中心の世界から、データを生み出している消費者中心の世界へのパラダイムシフト」である。このパラダイムシフトが起きるとどうなるのか?

本書はまさにそのために書かれた。「パーソナルデータを巡り、消費者と企業の関係を根底から覆してしまう新たなパラダイムシフトの潮流を、さまざまな観点から解説し、考察を加えた」のが本書である。

要注目トピックは、「あなたの家族が知らないこともマーケッターは知っている」「子供の名簿は宝の山」「個人情報と引き換えに身代金を要求される時代」「個人情報の収集や共有をやめさせる方法はあるのか」「スコア化される社会の到来は、知らないうちに差別される社会の到来か?」「あなたのパーソナルデータの金銭価値はいくらか?」「漏洩個人情報の価値」「米国連邦政府が推進するスマートディスクロージャ」「消費者のパーソナルデータを収集しないことを高らかに宣言したアップル」「パーソナルデータ経済圏の誕生」といったところだろうか。