「プラットフォーム」という言葉から何を連想するでしょうか。「これだ」という明確なイメージはなかなか浮かばない人が多いかもしれません。駅のプラットフォームを連想する人もいるでしょう。直訳すると「土台や基盤」という意味になります。

それではITの分野におけるプラットフォームとは何かというと、 「オペレーティングシステム(OS)やハードウェアなどにおいて、コンピュータを動作させるための基本的な環境や設定」であると尾原さんは定義されています。

本書「ザ・プラットフォーム」で尾原さんが位置づけるプラットフォームとは「個人や企業などのプレイヤーが参加することではじめて価値を持ち、また参加者が増えれば増えるほど価値が増幅する、主にIT企業が展開するインターネットサービス」を指します。

この説明は少し抽象的でわかりにくいです。「プレイヤーが参加することではじめて価値を持つ」とはどういう意味なのか。「参加者が増えれば増えるほど価値が増幅する」とはどのような現象なのか。尾原さんはこれを「ある財やサービスの利用者が増加すると、その利便性や効用が増加するネットワーク外部性がはたらくインターネットサービス」だと専門的に言い換えるのですが、まるで経済学の教科書の説明のようで難しい。

ここで尾原さんはクレジットカードを例に挙げてわかりやすく説明してくれます。実はクレジットカードも「100年以上の歴史を持つプラットフォーム」だというのです。それは「加盟店舗が増えれば増えるほどカードを使う人(利用者)にとって便利になり、また加盟店舗にとってのメリットもあり、クレジットカードそのものの価値が増す」ということです。これで腑に落ちました。

プラットフォームをグローバルに展開するIT企業は誰もが頭に浮かぶと思いますが、当然ながらグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト、ツイッター、ヤフーなどです。これらの企業が「プラットフォームとして自社のサービスを展開」しています。

本書ではIT企業のプラットフォームにフォーカスしている訳ですが、その理由は次の2点です。

①「IT以後の世界ではプラットフォームへの参加のしやすさが圧倒的に高まったから」

今や誰もがプラットフォームに参加しているはずです。フェイスブック、ツイッター、ラインはもちろんのこと、これはなるほどと思ったのですが、「グーグルの検索エンジンもプラットフォーム」なのです。検索するというのはプライヤーとして参加することであり、「検索のキーワードを入力する人が多ければ多いほど、グーグルの検索エンジンの精度は上がり価値が増す」というわけです。

②「プラットフォームがビジネスというジャンルを超え、社会や私たちの生活までしみ出し、世界を大きく変える可能性が見えてきたから」

事例として挙げられているのは「ジャスミン革命」「雨傘革命」などの政権を揺るがす革命で、スマホの普及によりプラットフォームを利用したユーザーたちが、どんどんメッセージや写真を拡散させることいより運動が広がったわけです。

私たちはもはや「生まれながらにして国家に所属している」ように、ITプラットフォームに所属しています。フェイスブックのユーザーは14億人と中国を超えているわけです。「国境を超えて人と人とがインターネットでつながり、ネットワーク化されることにより、国を超えた超国家的(メガ)プラットフォームともいうべき存在」が生まれています。

本書は「メガプラットフォーム」に欠かせない視点「共有価値観」というキーワードをを軸に、IT企業を根本から読み解き、ビジネスモデル、ネットの倫理にも言及し、日本型プラットフォームの可能性を探り、最終的には「人を幸せにするプラットフォーム」を考えていきます。