海外の巨大アニメレビューサイトMyAnimeListでは総合ランキングが掲載されていて、ランク上位作品の多くは日本の同様のランキングとも変わらないようなものにも見える。

そんななかで唯一日本では耳にすることが少ない作品がランキングに入っている。それが13位『四月は君の嘘』だ。

数千、もしくはそれ以上の作品を網羅しているこのサイトで13位という結果は驚異的で、日本ではもはやバイブルとも言える『カウボーイビバップ』や『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズよりも上位にランクインしている。

レビュー数も2014年に放映が開始したにも関わらずこれらの名作アニメに劣らない数のレビューが投稿されている。

ウィキペディアでこの作品を検索するとネタバレがいきなり書かれているので要注意だが、日本語のサイトでこの作品について語っているところは少ない。

実際にとてもよくできた作品で、作画や演出の面もきちんとしていてそれぞれの場面が美しく描かれているし、なにより音楽的にも取材や調査に裏打ちされた自然な世界観の描写が素晴らしい。

細かいところにも意識がさかれていて、ピアノを演奏するシーンも音と鍵盤の位置がきちんと対応している。映画やアニメの演奏シーンでよくある問題だが、背景の音とカメラが映すピアニストの手が矛盾だらけで、見ていて物語が作り物だとわかり白けることが多い。この『四月は君の嘘』ではそういったことを避けてきちんとピアニストの手のタッチまで描いている。


設定や選曲などもきちんとしていて、たとえばほぼ練習無しでいきなり本番で伴奏を弾くという場面でも、普通ならありえないが、この曲でなおかつ日本トップクラスの中学生なら初見でも弾けるかもしれないというくらいのちょうど良い難易度の曲が用意されている。

ケチをつけはじめるときりが無いが、序奏の音数が少ない箇所を聞いて「いい調子だ」というような反応する人物にたいして「いやこんな簡単な冒頭で判断できない」などと無粋に思うこともあるかもしれない。日本音楽コンクールで中学生がそんなに活躍するというのは、ヴァイオリンならまだしも、ピアノでそれは、などなどなどなど。

それでもあまりにも現実的すぎると今度はそれはそれで地味すぎるかもしれないし、プロがみても納得できるような作品にするための労力のために、他の箇所をないがしろにするのも無意味だ。それらのバランスが非常に難しいことを踏まえると作品自体の完成度とこのリアリティは賞賛に値する。

『のだめカンタービレ』もきちんとリアルな音楽業界を表現しているが、『四月は君の嘘』のほうが現実的といえるかもしれない。また、ドラマ性の意味でも『四月は君の嘘』のほうが劇的にうまくできているぶん評価が高いのだろう。